21 『気になるなぁ』
by 聖 ★章弘(akimitsu)
宮田と田島は『では』と 年寄りに軽く頭を下げタケの後ろをついて歩く。その後姿に『タケよ』と田島が声をかけ、
「なんがぁ」
タケが振り向き返事をする。
「無理するな、この山は手入れがあるからワシらだけで歩けるぞ」
田島が脚をとめ そう云うと
「いや」 一声と共に宮田も脚を止め、
「少し休んで夜通し歩くとすると案内はいたがいい。すまぬがタケよ・・頼むぞ」
宮田の言葉にタケは『まかせとくがぁ』と返事をすると、山への道を勢いよく歩き出す。
「田島殿 ここはタケの好意に甘えていましょう」
田島も 夜の案内の大切さが分かるので『うむ』とうなづき タケと宮田の後をおい山に向かって歩き始めた。
「うーん・・・。駄目だ見えやせぬ。木々も少なく月明かりだが 背丈以上の藪はどうにもならんっ」
空は明るく 足元は闇だった。
「旅僧さんはいいよ。オイラなんかお月様も見えやしない。鬼さんだって頭が隠れているときがあるみたいだ」
ボウは藪を掻き分けると言うより、絡まりながら歩いている。
旅僧は『うーむ』と唸り 頭を抱え立ち止まってしまった。
月と幾つか見える星で、行くべき道は分かるが、一里進むのにどれだけの時をかけているのか・・。そんななか、鬼も口で息をし、月を見上げて苦しそうにしている。
弟子は弟子で小言こそ云わないが、息遣いでかなり疲れていることが伺われた。
そんな中で、唯一元気を見せるのは、ひと時たりとも静かにしない小鬼だけだった。
「オイラは皆の尻しか見えやしない・・旅僧さん 明るくなる前には盆地を出れるかな・・。」
何処からも返事が返ってこない。
「・・無理そうだね」
頭の中に浮かび上がる言葉は、そのまま口からこぼれている。他の者が何も答えなくともお構いなしだった。
「よしっ」
旅僧が何かを決した様に背中の荷物を下ろす。
「ここで寝よう。草を倒して自分の寝る場所はつくればよい。そうしよう」
旅僧は辺りの草を倒し始める。
「ふう」弟子はやっと『休める』と 安堵の息をこぼして背中の荷物を下ろして、その場に倒れるようにして大の字になる。
鬼もすでに寝転がっている。
何か言葉をこぼしながら暗い空を指差している。
ボウがその指先を追うと
「鳥だっ」
月明かりの中を一羽の水鳥が飛んでいた。
「鬼さん・・翼がほしいのかい。オラも分かるよ・・・翼があればすぐに・・。」
「寝ろ」ボウの言葉に旅僧が言葉をかぶせてくる。
「儂もつかれた・・。寝よう・・・ボウよ・・おまえも寝ろ」
旅僧は疲れ果てているのか、目も合わさず横になり目をとじる。
「はい」ボウはうなづき、鬼へと目をやると、
「 ********」目を閉じて、ゆっくりと何かをつぶやいていた。
ボウは辺りを見回してみた。
旅僧は綺麗に辺りの草を倒して寝ている。
弟子と鬼は、ほとんどその場に倒れこむようにして寝ているので、体も隠れている。
ボウは少しの不安を 言葉にしようと思い
「旅僧さん」と 静かに声をかけてみた。
返事がない。
「狸寝入りかな・・。」
その言葉でも何も反応はない。
ボウは辺りの藪草を丁寧に倒して、我が身の落ち着く場所をつくろうと頑張った。
辺りを見回しゆっくりと座り込み、そして今一度辺りを確認して寝転がる。
まだ、頭に浮かんでくる不安が拭いきれないので、旅僧へと話しかけてみる。
「旅僧さん」返事はない。
「お弟子さん」やはり返事もなく、寝息も聞こえてこない。
二人が狸寝入りしていることは解るが、それは言葉にださずに静かに星を眺めた。
「お星様って・・なにかな」
言葉をもらして静かに空を眺めていたが、ムクと起き上がり旅僧と脚だけ見える弟子のほうへと目をむけた。
何も反応はない。
旅僧はいつの間にかボウのほうへ背中を向けて寝ていた。
「・・・・・。」
頭に浮かぶ不安のせいで、ボウは寝付くことが出来なかった。空に瞬く星と月を眺めて、
「死んだ人が星になるのかな・・・。明るい夜でも見える星は昔の偉い人がなったんだろうな・・・。
旅僧さんは偉いと評判だから明るい夜も、天に煌めくんだろうな。
評判といえば、人の噂は一夜で千里を走ると云うし・・。すでにオイラたちが向かう海まで鬼さんの噂は走っているのかな・・。
人がいない場所でも噂は走るのかな・・・。」
ボウのつぶやきに、言葉が返ってくる。
「寝ろ」
ボウの独り言に弟子が一言。
「なんだおきているじゃないか、返事をしてくれてもいいのに」
「・・・。」こんどは返事がない。
しばらく待ったが何も返事はなかった。
ボウは不安を言葉にだしてみることにした。
「おいら・・・気になることがあるんだ」
「 ・・・・・・・・・ 」
辺りは静かだ。
鬼のイビキが聞こえるだけ。
ボウはムクリと起き上がり、不安を口にする。
「・・・マムシ・・いるんじゃないかな・・。」と つぶやいた。
ガバッ バッ と 辺りに布のこすれる音、草の踏みつけられる音。その音と一緒に旅僧と弟子が飛び起きた。
その、急な動きに鬼は驚き慌てて飛び起きて身構えている。
飛び起きて辺りを見まわす旅僧と弟子。その緊張感に自らも緊張して辺りを右に左にと見まわす鬼。
皆の急な動きにボウも驚いて、皆の動きに目玉をキョロキョロとさせる。
一呼吸 二呼吸。
鬼は身構え臨戦態勢。
旅僧と弟子は、静かにボウを見入っている。
「わすれておった・・・・。」
旅僧がボウを見つめつぶやく。
tgjxn958@yahoo.co.jp

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by 聖 ★章弘(akimitsu)
宮田と田島は『では』と 年寄りに軽く頭を下げタケの後ろをついて歩く。その後姿に『タケよ』と田島が声をかけ、
「なんがぁ」
タケが振り向き返事をする。
「無理するな、この山は手入れがあるからワシらだけで歩けるぞ」
田島が脚をとめ そう云うと
「いや」 一声と共に宮田も脚を止め、
「少し休んで夜通し歩くとすると案内はいたがいい。すまぬがタケよ・・頼むぞ」
宮田の言葉にタケは『まかせとくがぁ』と返事をすると、山への道を勢いよく歩き出す。
「田島殿 ここはタケの好意に甘えていましょう」
田島も 夜の案内の大切さが分かるので『うむ』とうなづき タケと宮田の後をおい山に向かって歩き始めた。
「うーん・・・。駄目だ見えやせぬ。木々も少なく月明かりだが 背丈以上の藪はどうにもならんっ」
空は明るく 足元は闇だった。
「旅僧さんはいいよ。オイラなんかお月様も見えやしない。鬼さんだって頭が隠れているときがあるみたいだ」
ボウは藪を掻き分けると言うより、絡まりながら歩いている。
旅僧は『うーむ』と唸り 頭を抱え立ち止まってしまった。
月と幾つか見える星で、行くべき道は分かるが、一里進むのにどれだけの時をかけているのか・・。そんななか、鬼も口で息をし、月を見上げて苦しそうにしている。
弟子は弟子で小言こそ云わないが、息遣いでかなり疲れていることが伺われた。
そんな中で、唯一元気を見せるのは、ひと時たりとも静かにしない小鬼だけだった。
「オイラは皆の尻しか見えやしない・・旅僧さん 明るくなる前には盆地を出れるかな・・。」
何処からも返事が返ってこない。
「・・無理そうだね」
頭の中に浮かび上がる言葉は、そのまま口からこぼれている。他の者が何も答えなくともお構いなしだった。
「よしっ」
旅僧が何かを決した様に背中の荷物を下ろす。
「ここで寝よう。草を倒して自分の寝る場所はつくればよい。そうしよう」
旅僧は辺りの草を倒し始める。
「ふう」弟子はやっと『休める』と 安堵の息をこぼして背中の荷物を下ろして、その場に倒れるようにして大の字になる。
鬼もすでに寝転がっている。
何か言葉をこぼしながら暗い空を指差している。
ボウがその指先を追うと
「鳥だっ」
月明かりの中を一羽の水鳥が飛んでいた。
「鬼さん・・翼がほしいのかい。オラも分かるよ・・・翼があればすぐに・・。」
「寝ろ」ボウの言葉に旅僧が言葉をかぶせてくる。
「儂もつかれた・・。寝よう・・・ボウよ・・おまえも寝ろ」
旅僧は疲れ果てているのか、目も合わさず横になり目をとじる。
「はい」ボウはうなづき、鬼へと目をやると、
「 ********」目を閉じて、ゆっくりと何かをつぶやいていた。
ボウは辺りを見回してみた。
旅僧は綺麗に辺りの草を倒して寝ている。
弟子と鬼は、ほとんどその場に倒れこむようにして寝ているので、体も隠れている。
ボウは少しの不安を 言葉にしようと思い
「旅僧さん」と 静かに声をかけてみた。
返事がない。
「狸寝入りかな・・。」
その言葉でも何も反応はない。
ボウは辺りの藪草を丁寧に倒して、我が身の落ち着く場所をつくろうと頑張った。
辺りを見回しゆっくりと座り込み、そして今一度辺りを確認して寝転がる。
まだ、頭に浮かんでくる不安が拭いきれないので、旅僧へと話しかけてみる。
「旅僧さん」返事はない。
「お弟子さん」やはり返事もなく、寝息も聞こえてこない。
二人が狸寝入りしていることは解るが、それは言葉にださずに静かに星を眺めた。
「お星様って・・なにかな」
言葉をもらして静かに空を眺めていたが、ムクと起き上がり旅僧と脚だけ見える弟子のほうへと目をむけた。
何も反応はない。
旅僧はいつの間にかボウのほうへ背中を向けて寝ていた。
「・・・・・。」
頭に浮かぶ不安のせいで、ボウは寝付くことが出来なかった。空に瞬く星と月を眺めて、
「死んだ人が星になるのかな・・・。明るい夜でも見える星は昔の偉い人がなったんだろうな・・・。
旅僧さんは偉いと評判だから明るい夜も、天に煌めくんだろうな。
評判といえば、人の噂は一夜で千里を走ると云うし・・。すでにオイラたちが向かう海まで鬼さんの噂は走っているのかな・・。
人がいない場所でも噂は走るのかな・・・。」
ボウのつぶやきに、言葉が返ってくる。
「寝ろ」
ボウの独り言に弟子が一言。
「なんだおきているじゃないか、返事をしてくれてもいいのに」
「・・・。」こんどは返事がない。
しばらく待ったが何も返事はなかった。
ボウは不安を言葉にだしてみることにした。
「おいら・・・気になることがあるんだ」
「 ・・・・・・・・・ 」
辺りは静かだ。
鬼のイビキが聞こえるだけ。
ボウはムクリと起き上がり、不安を口にする。
「・・・マムシ・・いるんじゃないかな・・。」と つぶやいた。
ガバッ バッ と 辺りに布のこすれる音、草の踏みつけられる音。その音と一緒に旅僧と弟子が飛び起きた。
その、急な動きに鬼は驚き慌てて飛び起きて身構えている。
飛び起きて辺りを見まわす旅僧と弟子。その緊張感に自らも緊張して辺りを右に左にと見まわす鬼。
皆の急な動きにボウも驚いて、皆の動きに目玉をキョロキョロとさせる。
一呼吸 二呼吸。
鬼は身構え臨戦態勢。
旅僧と弟子は、静かにボウを見入っている。
「わすれておった・・・・。」
旅僧がボウを見つめつぶやく。
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